今日11月7日はジョニの誕生日。昨年の3月に脳動脈瘤で入院。一時は生命の危機だったと言われているが、8月にはチック・コリアのコンサートに姿を現してその場にいたハービー・ハンコックとも会ったりして、脳動脈瘤については着実に健康を取り戻す道筋にある。ジョニは、モルジェロンズ病という病気にもかかっている。これは皮膚の下を何かがはいずり回っているという感覚にとらわれる、カリフォルニアの白人中年女性に多く発症している皮膚病らしい。米国屈指の総合病院の一つメイヨー・クリニックの解説はこれ(英語)。いずれにしても、化学物質が原因とも、認知的なところに原因があるとか、まだよくわかっていない病気。皮膚の下を何かがはいずり回る!考えただけで気が狂いそうになる病気だよね。ただただ、ジョニの心の平安を祈るのみ。
公式Webには、祝福イベントやら、いろんな人の応援メッセージが寄せられている。去年暮れにはシャカ・カーンが、自分は長年のジョニのファンで彼女は自分にとってNo.1アーチストだと言っている。2016年にはジョニのトリビュート・アルバムを計画中、と言っていたので、彼女の公式Webなども見てみたが、まだ時間がかかるようだ。
で、先週のジョニ公式Webに掲載されたリブ・シドールLiv Siddallの一文がちょっと面白かったので紹介しますね。この人は、フリーライターでラフ・トレードの編集長とかやっている。ラフ・トレードは70年代にインディ・レーベルから始めて、今はレコードショップやら物販やら手広くやっているところ。最近はNYのブルックリンにも出店したということだが、ロンドンにイーストとウェストにそれぞれあって、ぼくが行ったことがあるのはイースト店。イーストのトルーマンTrumanビール工場(19世紀には世界最大の規模だったらしい)の古い建物を利用したモールの一角にあって、日本でいえば、ドンキホーテ的な楽しいごちゃごちゃ感の商品プレゼンテーションが魅力の店。インディ系、フォークでもオルタナ系のアーチストの品揃えが豊富で、トレーシー・ソーンTracey Thornの名作デビュー・アルバムA Distant Shoreがあったので買ったんだったな。
脱線したけど、リブの一文。ジョニの「真に普通でなく、徹底して非妥協的な」(a truly extraordinary and utterly uncompromising life)人生から何を学ぶか、ということ。
- 家をあなた自身のものにすること。もしくはただ単に(自分らしい)家を作る。・・・ここでは60年代末にジョニがカリフォルニアのハリウッドの北側のLaurel Canyonで住んだ家に、当時の恋人のグレアム・ナッシュなど多くのアーチストが集まって新しい音楽や芸術を作っていったことに言及している。
- 一人でいることは自由であること・・・これは自尊(セルフリスペクト)との関係で、自然にそうなるよね。
- 自分自身のスタイルを紡ぎだし、それから離れないこと。・・・リブはジョニの「Laid-back, bohemianくつろいだ、ボヘミアンな」ファッションについて述べていて、こだわりのない、くつろいだ、ボヘミアンな感じを醸し出すためには、物まねじゃだめで、私たち自身が真にこだわらない、ボヘミアンでなければだめだ、と言っているのだけれども、変化・進化(5.の老いによる変化を含めて)を自分のスタイルの中ででどのように消化・昇華するかが次の課題だよね。
- 逃げるのはオーケー・・・現代はソーシャル・メディアが地球上を覆っているので、創作活動のヒントを得るために誰にも知られない世の果てに「逃げる」ことがよくあった。ローリング・ストーンズはフランスの古城に何か月もこもったり、ジミ・ヘンドリクスも誰も知られずにモロッコに滞在していた、ジョニもクレタ島のそばのマタラ島に行ってた、という話。これは東洋的な文化でも一時的「隠居」、札所巡礼とか、リフレッシュする、生まれ変わるという願いが人類共通だということだよね。
- 老いは祝福、呪いではない・・・リブは女性の見地から、若返り、運動やら高価なトリートメントについて言及して優美に老いるのは難しいが、ジョニは老いることを、物事を見る見方、自由であること、率直であること、を通じて永遠の若さをもたらす、「創造性の進化のステップ」だととらえているとしている。なるほど、いいね。