笈ヶ岳に行ってきた

懸案の笈ヶ岳(おいづるがたけ、1841m)に行ってきた。岐阜・富山・石川の三県境の山ですね。三県境の山では第11位の標高。ちなみに第1位は山梨・長野・静岡県境の三峰岳(2999m)。間ノ岳の南西にある。

4時半に駐車場発、ジライ谷出合から激登3時間弱。冬瓜(かもうり)山から派生するこのジライ尾根がブナオ山から延びる支尾根に合流するあたり(冬瓜平)からは久しぶりのアイゼンピッケル歩行。傾斜がきついところはキックステップ、ピッケルで一歩一歩確保しながら歩行しないと滑落するので、なかなか気が抜けない。頂上11:15着て20分休憩、下山はくたびれて17:40自然観察館着。こういうハードルートは登り下りで所要時間が変わらない結果になるのはよくあること。下山時のルート習熟が疲労によるペースダウンとオフセットされるということだね。

残雪期にのみ登頂可能であるとされているこの山のキツさのエッセンスは、①登山口620mから1500m付近までの激登激降下、数える余裕がなくなるほどの岩場ロープ箇所の連続、木の根むき出しのナイフリッジ②1500m冬瓜平からの雪上歩行中の滑落リスク③頂上稜線の(残雪がなくなっている場合の)ヤブ漕ぎ体力消耗の3点。ぼく的には①の激登激降下が、実にいやらしく(痩せ尾根のブナ・ヒノキの張り巡らされた木の根!これが滑るんだ、特に冬靴の底は平らなのでなおさら)、ことさら下山時は精神的に参ります。③についても、今年はどこもそうだが、残雪が少ないため頂上稜線に出る2か所くらいに激ヤブがあり、かつ稜線上も雪が腐っているところなども気が抜けなかった。残雪の状況は例年の5月末に相当する位に少なく、現時点では冬瓜山・シリタカ山を越える稜線ルートは危険につき利用不可、ぼくらが利用した冬瓜平経由巻き道利用が適当と判断している方が多い。

ちなみに笈ヶ岳頂上から北に延びる稜線は大笠山(1822m)に続いている。最低鞍部が1550mで小ピークが2つあるが、ずーっと踏み跡すらない、笹と灌木のジャングルとなっているところ。昨年10月にあの田中陽希さんがグレートトラバース2「200名山一筆書き」プロジェクトで桂湖から大笠山泊で翌朝笈ヶ岳に8時間かけて攻略に成功。彼のようなスーパーマンをして「厳しい戦いを経験して、やはり計画当初から「最難所となるだろう」の予想通りの山だった」と言わせている。 (出所)ぼくなどの少しばかり山歩きの経験があるくらいでは、当然「自然保護センター中宮展示館からの通常の残雪期アタック対象」であって、かつ天候、ルート、体調それぞれをうまく管理して登る対象。また、ウェブ上には笈ヶ岳西尾根(清水谷)の無雪期の記録もいくつか見られる。これも地元の経験者が中心の歩き方になるだろうね。

行ってみてわかるけれども確かに名山であり、おすすめだが相当にコンディションを整えて行くことが肝要。コンディションは自分でなんとかできるが、直前の天候等によるルートファインディングのリスクや登山口までの足をレンタカー含めてゴールデンウィークに確保する面倒とリスク、などなどを考慮して今回はツアー山行のガイドをリスクヘッジとして使用した。13人の大所帯となったけれどその中でぼくのような外様は3、4人。残りの10人くらいは参加頻度は違えど「常連」さん。今回登頂した方々はぼくらプラス夫婦1組、5人くらいのグループ1組、若者2名1組(軽アイゼンまたは6本爪しかなく途中撤退)、下山時に冬瓜平でテント泊3張り(午後3時頃にスルメを焼いていて、いい匂いではあったなあ)単独者が3名だったかな。全部で30人くらい。4月から5月にかけて週末とGWに集中する山で毎年の人出は300人、500人という感じなのだろう。勉強になりました。

笈ヶ岳ルート
笈ヶ岳ルート
冬瓜平から。左端が笈ヶ岳ピーク。
冬瓜平から。左端が笈ヶ岳ピーク。
シリタカ山肩
シリタカ山肩から望む頂上稜線。まだ遠いなー。
笈ヶ岳 (768x1024)
笈ヶ岳ピーク(1841m)
大笠山へ続く稜線。田中陽希さんの激闘8時間のジャングル。
大笠山へ続く稜線。田中陽希さんの激闘8時間のジャングル。

記録(2016年4月30日: 晴のち曇り一時にわか雨)

中宮展示館発 4:25
ジライ谷出合 4:51
冬瓜平 7:34
シリタカ山肩 9:45
笈ヶ岳 11:15-11:35
冬瓜平 14:15
中宮展示館着 17:40