ナベサダのコメントに深く頷いた

ナベサダのラジオ番組は昔からなにがしか聞いてきた。大学に入学と同時にFM東京で深夜0時からやっていたマイ・ディア・ライフは本田竹廣がレギュラーのピアノだったかな、好きだったな。1977年くらいだと思うけどハロルド・ランドHarold Landとブルー・ミッチェルBlue Mitchellが来日したときに共演した回があって、There Is No Greater Love ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラブとかスタンダードをばりばりやって、カセットテープに「エアチェック」して長く聞いていた。しまいには、PC時代に入ってからカセットをWAV化してCDに焼いた。なので、今でもテープならば伸びたり切れたりすることもあるけれど、その心配なく聴ける。

現在のナベサダの番組は、渡辺貞夫 Nightly Yours。全国のJFNネットワークで放送されているが、夜中の3時とかからなので、Radikoolなどで録音予約して聴くしかないね。PC用録音ソフトではRadikaが有名で、ぼくも使用していたけれどバージョン・アップしなくなったため、Radikoolに乗り換えた。

先月の新しいミュージシャンを紹介する回で、スタンフォード大卒で統合失調症を患いながら数々の賞を獲得しているトランペットのトム・ハレルTom Harrell、イスラエル出身のコーエン3兄妹のトランペッターのアヴィシャイ・コーエンと同姓同名のベース屋さんの(ややこしいね。日本で言えば鈴木一郎さんのような名前だとか。)アヴィシャイ・コーエンAvishai Cohen、それとブラジル南東部のフォルクローレの土壌とサンバ・ボサノバのが混ざった不思議な雰囲気のジゼリ・ジ・サンチGisele di Santiを紹介。80歳のナベサダは言う。「若いミュージシャンは基本的に<買う>。僕らがジャズを始めたときは、ディキシーランドからスウイング、そしてビバップと発展してきていたアメリカン・ジャズ。今は世界が狭くなってカリビアン、ブラジルの音楽や、さらには東南アジア、中近東と世界の伝統音楽をジャズが吸収している。世界のミュージシャンがジャズに影響を受け、ジャズをハプニングしている。」として、ジャズにおける異質のものの出会いが、世界が狭くなったおかげでさらに活発になっている、としたうえで、「若いミュージシャンは評価するが、ミュージシャンシップというべきもの、すなわちセンス、テイストが重要であって、そこにGrooveがあるかどうかが問題だ。」と言っていた。「ミュージシャンが<雑食化>して、テイストやセンスが幅広くなってきたということで、ジャズはContemporary Musicというものになったのではないか」

さすが、ナベサダ。伊達に年を取っていない(偉そうにすみません)。センスとかテイストというホンワカした用語を使って話していたけど、ナベサダが言うミュージシャンシップの内容には、ミュージシャンを評価する要素として、技術、経験、音楽の伝統理解、異質なものの対決・止揚、そうしたものから紡ぎだされるオリジナリティといったものが入ってくるのだろう。深いね。

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